7月29日:黒部ダムを見に行こう。

走行距離:63km
ルート:安曇野〜大町〜アルペンルート〜大町
宿泊:「森のくらしの郷」ツリーハウス


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 さあ、今日で目的地の大町に着く。初日で遅れたが、これは余裕で現地に到着できそうだ。テレビの天気予報によると天気は下り坂らしい。明日の結婚式は大丈夫だろうか…。

 朝食の後、奈良のリタイア男性が先に出かけ、次いで中年ライダーさんと僕と、寝屋川の美術館巡り女性が出発する。中年ライダーさんはまだリング形式だった頃の古いツーリングマップルを使っていた。書込みの量がすごい。

 安曇野からは県道306号線を使って北上する。高瀬川の堤防上に設けられた道路で、北に向かって緩やかな登りとなっている。スピードは出ないが息が上がるほどの坂道ではない。何となく、いつのまにか高度を稼げそうだった。

 そして午前中に大町到着。2週間前にツリーハウスの建設を手伝った「森のくらしの郷」の入口を確認する。今日は作りかけのツリーハウスを借りて寝ることにしよう…。

 今日はもうどこに行く予定もないので、よし!黒部ダムを見に行こう!本当に見に行けるとはなぁ〜。大町市内から大町アルペンルートを登り、扇沢でトロリーバスに乗り換えてダムに行けるようだ。

 ではいざ、登坂開始!

 大町アルペンルートは、元は黒部ダム建設の際に資材運搬用に開削された道路である。ホンマもんの山岳道路で急勾配。顔が歪むほどの登坂とはこのような登坂をいうのだ…。ぜぇぜぇハァハァ…。きーこきーこきーこ…。

 スノーシェードをいくつか越え、いよいよ登りは急に。標高を稼ぐにつれ空気は冷たくなっていくが、いっぱいいっぱいの力で登坂しているので暑くてたまらない。きーこきーこきーこ…。ここまでの旅程では使わなかったフロントのインナーにギアが落ちてしまった。さすがにこれは軽いギアを入れないとムリでしょう。

 しかしところどころで飲料を口にするために停車するものの、息を整えるためだけの「へたり込み」で止まるにはいたらない。メッセンジャーとして稼働してすでに2か月以上が経つ。都内の勾配はアルペンルートに比べれば(長さは)大したことがないが、それでも都内を週4ペースで毎日100キロ走っていれば、自然と鍛えられていくのだろう。登坂は苦しいことは苦しいが、しかしそのダメージは勤め人だった頃に比べればいたって軽いものだった。
扇沢駅
 そうか、いつのまにか鍛錬されていたのか…。結局12時10分に登坂を終えられた。

 標高1425メートル。クルマや自転車で来られるのはここまでで、ここから先は深い山の中をくりぬいたトンネルの中を、トロリーバスに乗り換えて進むことになる。ここから先は、自転車を下りて気楽に観光客モードだ。

トロリーバス 扇沢駅でキップを買い、まもなく出発だというトロリーバスの列に並ぶ。扇沢から黒部ダムまでは往復2200円。

 プラットフォームから「パンタグラフのついたバス」が出発し、まもなくトンネルに入る。中島みゆきの「地上の星」を思い出したが、しかしその番組で僕は黒部ダムの回を見ていないのだ…。

 15分ほどでトロリーバスは登坂を終え、トンネルの中の駅に到着する。ぞろぞろと下りていく観光客に混じって、僕も外へと出る。行き先は展望台。そして…

 すごいものを見た…

 これがあの…


黒部ダム


 すごい。すごすぎる。

 これが人間の作ったものなんだなぁ〜。その大構築物たるやみごと。ダムの堰堤の高さ…ひゃ、186メートル!?華厳の滝の倍もあるのか!

 ちょうど放水の季節で、放水口からドォオオオオオオオオオ!と飛び出す水しぶきは、落下する前に霧となる。

 うーむ、すげー。すげーよ…。感動だよホント。展望台の近くで汲める破砕帯からしみ出す水で顔を洗い(これがまた冷たいのだ)、しばしダムに見入る…。うーむ、いつまで見ていても飽きない。

 かなりの時間をダムを見下ろす展望台の上で過ごし、そしてダムの堰堤へ下りていく。

 堰堤の左奥には殉職者の慰霊碑が建っていたので手を合わせておいた。殉職者の数、なんと171名。一人一人の名前が彫られた金属板が慰霊碑の下に掲げられており、もちろん知らない名前ばかりなのだが、それらの名前を見ていると何だかジワーっときてしまう。

 堰堤の上に立つと、放水口から飛び出す水しぶきの中に、虹ができているのが見えた。

 2時間近くというけっこうな時間を黒部ダムで過ごしたが、そろそろ戻るとするか…。帰りのトロリーバスの駅に向かう。帰りの乗り口には、映画「黒部の太陽」のカットの写真が何枚も貼られていた。なかなか面白そうな映画じゃないか。

  トロリーバスにゆられること約15分。再び扇沢駅にもどってきた。では、黒部を離れることにしますか!3時に扇沢を離れる。帰りは大町までずーっと下りが続くので楽勝である。それにしても、空の雲行きがあやしい…。

 大町の街の中まで戻り、時間は…まだ4時か。さすがに早く着きすぎたかな。では先に風呂に入ることにしよう。温泉「薬師の湯」で入浴料600円を払い、それこそ飽きるほど露天風呂に入る。

 いくら風呂に入っても時間は有り余る。なにせすでに旅行の最終目的地に着いており、しかも本番の行事である先輩の結婚式は明日の昼からであり、もう何もやることがないからだ…。誠にゼイタクな時間である。風呂から上がった後もロビーでテレビなどを見ながらボケーッとし、6時になってようやく薬師の湯を離れた。

 近くの定食屋の「テンカラ」(字は失念。天加羅…だっけ?)で豚肉のショウガ焼定食と、カレーライスと、ブルーベリーのフロートをたいらげる。店内には他に地元の客がわずかにいるのみ。店の主人としゃべっている。ん?どうやら明日の先輩の結婚式のことが話題になっている。テンカラもカレーを作って結婚式に提供するのだそうだ。

 テンカラを後にし、ツリーハウスへと向かう。街灯も何もない山道を、自転車のヘッドライトを頼りに押し歩きしていく。そして8時、ツリーハウスに到着。寝袋や銀マットを抱えて斜面を登り、やはりヘッドライトだけを頼りにツリーハウスで寝る支度をする。

 ツリーハウスとはいえ、まだ天井の中心部分は完成しておらず、壁も一部しか張られていない。雨が降ったらアウトだが、そうなったらそのとき考えよう。工具箱や木材の破片が散らばったツリーハウスのキャビン(予定)部分を軽く片づけ、銀マットを広げる。とりあえず寝るスペースだけは確保した。

 しかしまあ寝るには早いだろう。ここで大学のサークル同期であるザッキ君に電話してみる。誰か先に来ていないのかな?と。

 電話すると「ブログ面白いんだけど」と言われた。そうなのだ。携帯電話を使ってブログで旅行の実況中継をしていたのだ。「誰か先に来てたりしないの?」ときいてみると、料理スタッフが先乗りして準備しているらしい。もう少し山の上を行ったところにある森の中の広場(披露宴予定会場)にいる模様。よし、行ってみるか。

 行ってみるとサークルの1学年後輩であるノブぴょんがいた。明日の披露宴150人分の料理は、現役シェフである彼の差配によって仕込みが行われているのだった。ノブぴょんは在学中からケーキ作りの修行をしたり何したりで、結局料理人の道を突き進んでいる。そして今や…渋谷のセルリアンタワーの料理人である。すでにメインディッシュも作っていたりしているらしい。

 ノブぴょんたち料理スタッフは、これから場所を移して準備の追い込みにかかるらしい。僕も一緒に来ないかと誘われたが、ハッキリ言って料理面では僕は役立たずである。というより、もうすでにツリーハウスで一人で寝る気満々なのだ。自転車で走った距離は短いが、登坂戦などもあり、それなりに疲れた。寝ると言ったら寝る。


 クルマで山を下りるノブぴょんたちを見送り、僕はツリーハウスに戻る。蚊取り線香に火をつけ、寝袋に潜り込む…。いよいよ明日は結婚式か…。


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日付
タイトル
走行距離
宿泊
まえがき
先輩が、結婚することになった。
7月27日 熱暑の中、やる気のない出発。
117km
高田川の親水公園
7月28日 碓氷峠を乗り越えて。
129km
安曇野ユースホステル
7月29日 黒部ダムを見に行こう。
63km
「森のくらしの郷」ツリーハウス
7月30日 そして感動の結婚式。
7km
「森のくらしの郷」小屋
7月31日 ツリークライミング初体験。
44km
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あとがき 胸に去来するもの。


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