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前夜寝たのはたしか11時頃だった。そして3時にいったん目が覚めてしまった。あとは寝付けず、4時、ようやくちゃんと起きた。朝食にカップラーメンを食べる。前日までにすでに東京から走りつぐこと500km以上。朝もちゃんとカロリーを取らないと走れない。で、カップラーメンは値段のわりにカロリーが高いし、食べやすい。
前日に合流したhimajimeさん(はるばる富山からの参加)も同じ宿だ。4時50分に出発と決めていたので外に出てみると、すでにhimajimeさんは出発準備完了だった。僕もランドナーに荷物を載せ、二人で白子駅前のコンビニに向かう。弁当よりも、細かく食べ分けられるおにぎりとかの方がいいかな??
食料の調達を済ませ、白子から鈴鹿サーキットに向けて走り出す。まだ外は真っ暗だ。僕はランドナーだが、himajimeさんは長野県のベンチャー企業「村山コーポレーション」が開発したMC-1という折り畳み自転車のオーナーであり、そのアピールのために今回鈴鹿に参加している。サーキットで他のMC-1メンバーとも合流する予定だ。
白子から鈴鹿サーキットまでは意外と遠い。国道23号をしばらく南下し、そして西に向かって登り基調の道を走っていく。…ん?himajimeさんの姿が見えなくなった、と思ったらはるか後方に置き去りにしてしまっていた。himajimeさんは荷台にカートを積んでおり、これがなかなかの斤量のようで特に登坂が辛そうだ。
そんなこんなで30分ぐらいかけてようやくサーキットに到着し、受付をすませる。himajimeさんはクルマで夜通し東京から車で走ってきた他のMC-1のメンバーを拾いに、そして僕は前日合流していたきーさん(サーキット内のホテルに宿泊)と再度ピットで合流する。きーさんは僕の前の職場の先輩で、今回はマウンテンバイクで8時間ソロにエントリーしている。
僕ときーさんはソロでのエントリーなのでチーム用ピットはもらえないのだが、MC-1ユーザの「MCハマー」がチームで参加しているので、そのスペースを利用させてもらう。43-45ピットだから、ホームストレッチのだいぶ下の方だ。
ここにMC-1でソロ参加するサイゴウさんが到着した。サイゴウさんは風貌が西郷隆盛に似た100kg近い巨漢だ。かつてマウンテンバイクで東京から大阪まで53時間宿泊なしで走ったという抜群の走破力の持ち主。なおかつ自転車のメカにも強いというからまさに無敵。僕も今回の旅行に出かける前に、東海道走破ルートについて彼からアドバイスを受けていた。
きーさんのマウンテンバイクのブレーキの調子が悪く、すぐに片利きになってしまうので、サイゴウさんに点検してもらう。僕のランドナーも特に問題はないが、ブレーキシューとタイヤについてサイゴウさんの講義。
名古屋でシューがすり切れ、カンチブレーキ用のシューを交換したのだが、ランドナーにもどうやらカートリッジ式のシューが付くようだった。カンチ用ノーマルブレーキのように土台ごと交換するものだと調整が大変なのだ(僕は前後で1時間半かかった)。次回からカートリッジ式を買おう。タイヤも乗鞍攻略の前に1.25インチのPanaracer
T-servというものに交換したのだが、この銘柄は溝がなくなるとたちまちコケやすくなるらしい。スペシャライズドでいいのがあるという。ふむふむ。
受付のときにもらった参加賞の袋の中に、プログラムが入っていた。パラパラめくってみると出場選手一覧が載っている。…自分の名前発見。うーむ、申し込みが早かったからなのか何なのか、めちゃくちゃ最初の方に載っていて恥ずかしい。…きーさん発見。MCハマー発見。ふむふむ、みんなちゃんと載っている。当たり前か。…ふむふむ、回転木馬チーム大量に発見。まっぴぃさんてどの人だろう?…ふむふむ、かおりさんやおせいぴょん発見。
やがてhimajimeさん他、xidaさん、Nebulaさん、とんさあさんといったMCハマーチームもピットに到着した。xidaさんとは学習院大学の生涯学習講座で開講されている疋田智さんの「愉しむための自転車学」で知り合い、それが縁で今回のMC-1軍団との合流となった次第。
MC-1チームの皆さん
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折り畳み自転車MC-1の勇姿。侮りがたい走行性能をもつ。
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すでに試走の時間に入っているので、サイゴウさんと一緒にコースを一周してみることにした。僕はすでに1日に鈴鹿に着いていたのでコースは外から下見済みだが、実際に走った感触がどんなのものなのかは想像も付かなかった。とくにスタート地点の長い登りが…。
走ってみると、ピットを出ていきなりのホームストレッチの登り、そしてシケインまでのカーブが最もきつい。うーむ、この長い登りは時速20km、いや15kmを維持できればいいか…??
コースの他の部分も、想像していたよりもはるかにアップダウンが激しかった。標高差40mとは聞いていたが、単に40m登って40m下るというものではなく、グリングリンとアップダウンを繰り返している。下りの位置エネルギーを使ってもなお、登りはちょっと苦しい。その代わり下りでは猛烈なスピードが出る。下りで飛ばした貯金を登りで使い切らないようにできるかどうかがポイントか。
MC-1に乗ったサイゴウさんはシャカシャカシャカと軽快にペダルを回し、はっきりいって僕のランドナーよりも速い。うーむ、ミニサイクルあなどりがたし。いや、サイゴウさんがすごいのか?グィーンとMC-1の姿が遠ざかっていく。
一周しての感想は「けっこうしんどい」「こりゃヤバいかも」だった。一周しただけだが「一仕事終えた」というかんじだ。少なくとも同じ距離でもかつて市役所まで自転車通勤していたのよりもはるかにしんどかった。今日はここを何周もしなければいけないのに、これで大丈夫なのか?走りきれるのか?
食料はチームピットに全部置いておくつもりだったが、予定を変え、ホームストレッチのさらに下の方にあるソロ用のテントピットにも半分移しておくことにした。ホームストレッチの登りに入ってすぐ、倒れ込むようにして休憩せざるをえない事態を想定したのである。さらに体を動かしたり、ペットボトルを自販機で買い足したり、朝のカップラーメンだけでは物足りなかったので、カレーパンを食べたり、競技用センサーをフロントフォークに装着したりしてスタートを待つ。
そして、フロントバッグとサドルバッグの中から、極太のワイヤー錠と雨合羽は抜き取って走ることにした。すでに着替えや今回持参していたポケットPCは宿に残してきたが、さらに軽量化をすることにしたのだ。本当はなるべく旅行中に近い斤量で走りたかったが、これでは1日最高走破記録を更新することは出来なさそうな気がした。
サーキットを走れればいい、参加できればそれでいい、とにかく楽しめればいいという考えでオレは来ているのではないのだ。走破記録を更新できなかったら、おそらく「楽しくない」だろう。自分なりの「記録」がどうしても欲しかった。
旅行の出発前に友人のミスターX(ウェブ上にあまり登場したくないらしい…)からプレゼントされた「東京から自走中」というA4くらいの大きさのエンブレムをフロントバッグにつけ、きーさんと共にスタートラインへと向かう。MC-1軍団は4時間部門にエントリーしているので、8時間の僕ときーさんの方がスタート時間が3分早い。
周りを見渡せば出場者のほとんどが「真剣」なロードレーサーのようだった。スタートラインからなるべく後ろに下がったところに並ぶが、それでも後から後から続々とマジな人たちのマシンが並んでいく。なんだか自分がとても場違いのように思えてきた。キンチョーしてきたなぁ。競争するわけでもないのに。まぁこちらも自分なりに一生懸命走るつもりだ。
「東京から自走中」のエンブレムを見た隣のロードレーサーから話しかけられる。なかなか気さくな青年だった。自転車は快速マシンだったが、服装が上下背広だった。マジなんだかシャレなんだか分からない。
スタート時間が近づき、あちこちからパキ、パキ、パキっというSPDシューズをはめ込む音が聞こえてくる。よっしゃあ、オレもやってやるぜ。トゥークリップに右足のつま先を突っ込んで身構える。
いよいよ始まった!こんな密度では見たことがない膨大な数の自転車がシャアアーーーと走り始める。僕も後に続く。きーさんともここでひとまずお別れだ。走っている間は一人。マイペースで行くぞっ。
マイペースといってもゆとりを持ってこぐという意味ではない。なんちゃってチャリダーにも五分の魂。もちろんマジな人たちに勝とうとか上位入賞をしようとかいう考えはまったくないが(そもそもそれは無理な話だ)、それでも自分なりに期するものはあった。
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