10月27日:サイバーチャリダー、箱根を登る。

走行距離:96km
ルート :世田谷〜厚木〜箱根
宿 泊 :箱根レイクヴィラユースホステル

※BGMはいかじゅうさん作「アドベンチャードッグ」
♪:BGMを鳴らすスイッチ

 昨日は疋田智さんの生涯学習講座の日だった。一部の人たちは飲み会に行ったようだが、僕は昨日は講義だけで帰宅した。今日この日の出発に備えるためである。次回の講義は2週間後。次回の講義の前日に東京に戻ってくる予定だ。久々の大遠征だな〜。

 6時前に起きるが、けっきょく出発できたのは7時10分だった。2001年3月に鹿児島までマウンテンバイクで走ったときは、7時半出発で箱根に着いたのはたしか5時頃だった。今回はもうちょっと早く着きたいと思っていたのに、けっきょく出遅れてしまった。けれど今回は地図ソフトであらかじめ最短ルートを割り出していたので、意外に早く着くのではなかろうか?乗っている自転車だってランドナーだし、荷物だってあのときよりもうんと軽い。

 前回マウンテンバイクで走ったときほどではなかったが、今回もワクワクにやにやしてしまう。やっぱ、旅行といえば自走がいちばんだ。自分の力で走るという自転車のいちばんの醍醐味をそのまま体現したのが完全自走旅行。思えば自宅から自分でこぎ出すのは去年のGW以来、往復完全自走旅行にいたっては、2000年11月以来だった。
 そうだ、皆さんご存知の疋田さんだって、学生の頃はランドナーで東京から宮崎の実家まで走っているんですよ!
 

 今回は長期旅行に初めてGPSを持っていくのだが、その他の荷物は厳選した。というより、以前は無駄な荷物が多すぎた。
 同じ長距離旅行でも、以前の鹿児島行きのときの荷物はパニアバッグ1つにデイバッグ1つをリアキャリアに搭載し、それにくわえて腰にもウェストポーチ。野宿装備は全然なかったのにこの大荷物だった。今回はフロントバッグ1個にサドルバッグ1個。体には何も身につけない。

 前回はツーリングマップルを何冊も持っていったり輪行袋を持っていったりしたからというのもあるが、いっぽうでバスタオルなどという絶対イラネーというものまで運んでいたのも事実。タオルなんて小さいの1本で十分十分。

  シンプル
↑荷物はこれで十分。サドルバッグに入っているのは雨ガッパと工具、財布、フロント・サドルバッグの雨天用カバー。雨ガッパとGPS関連がなければフロントバッグにすべて収まっていたはず。
 
 しかし今回意外と重いのがGPS関連のものだ。GPS本体、ニッケル水素充電池4本(GPSは2本で稼働する)、充電池用の充電アタッチメント、GPSに入りきらないデータを格納するためのポケットPC(NTTのシグマリオン2…知人の編集者ゆうさんから1万円で買った)、シグマリオン用の保護ケース、シグマリオン用の充電ACアダプター、GPSとシグマリオンを接続するためのケーブル類(アダプタを介しているためとても長い)。

 これらだけでフロントバッグの半分近くのスペースを占めてしまう。まさにサイバーチャリダーである。燃料や動力がいらないのが自転車のはずだが、電池がないとパワーダウンするのがサイバーチャリダーの弱点といえる。
  ハンドルまわり
↑ハンドル周辺。いつも付けているキャットアイのメーターの左、ステム突き出しに取り付けたT字型のデッキに載っているのがGPS。フロントバッグの中は着替え、GPS関連のブツ、保険証、ユースガイドのコピーなど。ポケットには携帯電話とメモ帳。透明ホルダーのツーリングマップルは、最新版ならば中部地方のやつ1冊で済む。
 
 GPSの使い方についてもふれておこう。
 出発前に、あらかじめ走る予定のルート(というか主要な通過ポイント)を大ざっぱに入力しておいた。フリーの地図ソフトであるカシミール上でプロットし、それをGPSへと転送したのである。あらかじめ入力したポイントはGPS上でも見ることができる。

 そして今回の旅行で実際に自分が走った軌跡をGPSに記録し、データを持ち帰ってPC上でカシミールを使って表示させるのだ。しかしGPSには記録容量の上限があるので、1日ごとに宿でシグマリオンにGPSをつないでデータの移行・保存作業をするというのが旅行中の日課になりそうである。

 ちなみに地図ソフトのカシミール自体は無料でダウンロードできるが、これだけだとソフトだけしかなく、肝心の地図データがついてこない。なのでここでは書籍版をおすすめしておく。なお、ソフト単体でも、国土地理院の地図閲覧オンラインサービスを利用すれば(カシミールのメニューから選択可能)、カシミール内でも2万5千分の1地形図だけならば無料で閲覧できる。
  シグマリオンとの接続
↑シグマリオンとGPSの接続の様子。両者のケーブルは端子ちがいでくっつかないのでオス・メス変換アダプタを介して2本のケーブルをつないでいる。これが太くて重い。GPS側からのケーブルはGPSに備え付けのものだが、シグマリオン側からのケーブルはYahoo!オークションで手に入れた。シグマリオンはポケットPCのわりには大きめのキーボードを備えているのが売り。これで旅行記を滞在先で書き終えればいいか?と思っていたが、そんな元気はなかった。

 以前箱根に行ったときは、道に迷うのを防ぐために環八から246号経由で西に向かったが、それだと遠回りになってしまう。厚木までは鶴川街道を使うのが最短距離の正解だ。自宅を出て、仙川と野川を使って南へ。そして小田急線にぶつかったら小田急沿いに西へ。これだけで多摩川水道橋を渡ることができる。

 そして新百合ヶ丘、鶴川と小田急沿いに走っていく。町田までは丘陵地を抜けるのでそれなりにアップダウンもある。このへんまでは数日前にすでに下見済みだった。見知らぬ田舎よりも、道路が何本も密集している都会の方がかえって道に迷いやすいともいえる。下見をしたにもかかわらず、町田付近で道をまちがえてしまった。

 それにしても、丘陵地だと道路は必然谷筋を通ることになるので、ルートの選択肢が少ない。アップダウンはまあ仕方ないとして、けっきょく都会の狭い道路を走らざるをえないところも多々あるわけで、走りやすいルートをつなぐという自分の構想にも高いハードルを感じるのだった。

 往路は素早く移動することを優先しているとはいえ、これでは裏道を探したとしてもけっきょく答えは変わらないような気がした。
  都会の道路
↑あまりこういうところは通りたくないけれど、通らざるをえない。小田急の相武台駅前にて。車道は狭いし、歩道も狭い。狭いわりには交通量も多い。

 相模大橋で相模川を渡った後は、小田原厚木道路を激走する。真ん中の有料道路を挟むようにして、両側に一般道路が通っている。自転車が走るのはもちろんこの一般道路だ。ルート取りが小田原方面に向けて一直線なのでとても重宝する。

 しかし、ここは環境としては絶対に走りたくないルートでもある。なぜなら路肩というものが「まったく」なく、しかもすぐ脇を通るクルマは高速道路並みのスピードで飛ばしているからだ。厚木から平塚までのおよそ10キロ、ほとんど交差点などもなく、まさにクルマを通すためだけの道路なのだから当然だ。路肩がないだけでなく、ガードレールをはみ出して雑草がおおいかぶさっているので車道側にふくらんで走らなければならないのにもまいった。

 本当はこのようなルートこそ外したかったのだが、今日は何としても箱根までは登り切らなければいけなかった。探索は帰り道にとっておこう。やや重めのギアにして、一気に走り抜ける。

 平塚からは有料道路を離れ、地方道63号線を使って南下する。このあたりも走り覚えのある道だ。クルマさえあまり通らなければ特に問題なし。しかも余裕の下り基調。

 そしてやってきました国道1号!大磯の「国府新宿」交差点にぶつかって西へ曲がる。あとは海岸線に沿って1号を進むだけだ。往路はバイパス区間を除いてこの1号をひたすら走るのが基本になる。うんうんうん、この道も覚えているぞぉ〜。このへんの1号は、1号というイメージとちがって思ったよりも交通量が少ない。アップダウンもほとんどないので意外と走りやすい。路肩もきちんとあるし。このへんは自転車推奨ルートに認定してもよさそうだよな…。

 さて、お昼をどうしよう。前回来たときは、昼飯をシッカリ食べず、箱根の旧道でへたばってしまったのだった。時間は11時10分。マウンテンバイクで来たときは12時を過ぎても地方道63号にいたような気がするが、だいぶ時間の貯金ができた。ファミレスにでも行っておこう。

 ガストの国府津店でランチを注文する。ハンバーグ、春雨、コロッケ、キャベツ。そして飲み放題のあったかいスープ。あまり飲み過ぎるとトイレが近くなるが…。食べ終わった後も地図を眺め、体が完全に温まるのを待つ。よしOK。11時50分、店を出る。

 小田原中心部まで走り、一気に通り抜ける。もう休憩はいらない。あとは地道に登るだけだ!3年前は手押しの連発だった箱根。今回は手押しをせずに登り切ってやる!前回は急勾配の旧道だったが、今回は国道を使っての勝負だ。登坂の前に、ツーリングマップルの代わりに箱根の登山地図をホルダーに入れる。乗鞍のときもそうだったが、自分が今どこにいるのかが詳しく分からないと、モチベーションの維持が難しいのだった。

 箱根鉄道沿いに登坂開始!このへんまでは、マウンテンバイクを買う前にもママチャリでも来たことがある。この程度は登坂とは言わないぞ。二枚橋で旧道と国道に分かれる。国道へ進む。湯本や塔ノ沢などといった温泉郷を越え、ギアも軽くしていく。今回は手押しはしない。ならば軽いギアを目一杯使って登ってやろうじゃないか。

 それにしても国道1号とはいえ、道幅がどんどん狭く、また勾配もきつくなっていく。勾配がきつくなるのは仕方ないとはいえ、道幅の狭さは想像以上だった。自分のすぐ横までコンクリートの崖がせまり、頭上には木の枝。空が開けているのが片側だけか…まずいな。GPSは複数の人工衛星からの電波で位置情報を記録しているのだが、電波を拾える数が減ってしまうと精度が落ち、やがて自分の位置を捕捉することができなくなる。だから上空の視界の確保はとても大切。走った軌跡が持ち帰れなかったら、何のためのGPSなのか…。

 心配は的中し、途中でときどき衛星信号が切れることになった。GPSの液晶画面に空が開けた場所に移動してくださいと表示される。でも道路自体が狭いから仕方ない。GPSの電源のオン、オフをくり返し、信号を拾い直すことを試みるが、これでは精密な軌跡が描けないじゃないか…残念だ。

 もうGPSはなすがままにまかせて、登坂に集中することにした。いつ終わるともしれない登りの連発、とはいえ箱根は途中途中に温泉郷や箱根鉄道の駅があるので自分の現在位置が把握しやすく、精神的にマイってしまうということがない。前回旧道を通ったときは目印が乏しかったからやられたのだった。

 さあ、ギアもあと歯車が1枚しか残っていない。時速10キロ以下。しかし、しかしそれでも時速5キロとか6キロとか、歩く速さまでは落ちなかった。なんだ、旧道を使わなければけっこういけるじゃないか。もちろん立ちこぎをするまでもないし、あまり息が切れるようなこともない。

 宮ノ下前後の区間が最もしんどかったが、もうかなり標高を稼いでいるはずだった。やがて突然の標識。国道1号最高地点だって。え?最高地点って箱根峠じゃなかったの?知らなかった。

 国道1号の最高地点は「曾我兄弟の墓」の近くにある。そうか、箱根峠よりもカルデラの北東側の方が高かったのか。ならば今日はあとは下るだけじゃないか。芦ノ湖近くまで一気に下って今日は終了だ。意外とあっけなかったなぁ…。
  最高地点の標識
↑国道1号の最高地点は箱根峠ではない。芦ノ湖の北東側が最も高い。突然標識が現れるので確認できる。

 時間は…なんとまだ午後2時50分!国府津のガストを出たのが11時50分。小田原を通ったのはもっと後だから、登坂に要した時間は2時間台か。マウンテンバイクで旧道を使ったときは、休憩を入れて3時間半ぐらいかかったかと思う。距離はもちろん旧道より国道のほうが長いが、傾斜がましな分、スピードが落ちなかったということか。またここまで来る日があるのかどうかは分からないが、次来るときは箱根を登るときは自分としては国道のほうがいいような気がした。

 早く着きすぎたのでユースの中にはまだ入れてもらえない。といってもユースの周りには時間をつぶせるようなものは何もない。意外と登坂があっけなかったとはいえそれなりに疲れてもいたので、再び自転車に乗って散策するというまでの元気はなかった。ユースの庭に置いてあるイスに腰掛け、防寒具兼用の雨ガッパを着込み、ツーリングマップルをぼんやりと眺める。

 4時になってようやくチェックインし、すぐに風呂に入る。このユースの風呂はもちろん温泉で、しかも24時間入れるという計らい。さすが温泉地。長風呂につかっておこう。実は、右の股関節と左の膝裏の腱がクタクタに疲れている。しかも「疲れている」と「痛い」の境目ぐらいだ。これが「痛い」に変わるときっと自転車をこげなくなるのだろう。養生しなければ…。そして自分の部屋で眠り込んでしまった。

 6時半に夕飯。広い食堂に僕一人だった。ご飯をおかわりしまくり、あっというまにたいらげ、2階の談話室のテレビをつけ、くつろぐ。新潟で地震の余震が止まらなかったり、2歳の男の子は救出されたけれど母親は亡くなってしまったり、イラクでまた日本人が拘束されたりといろいろな事件が起こる。

 イラクの人質は、例の3人の一件があって以来、マスコミでの扱いが変わったような気がする。前回は家族の方が幾度も登場して自衛隊を撤退させろという主張をしていたと思うのだが?この扱いのちがいはあの3人と今回の青年の肩書きのちがいゆえか?それとも事件があってからもまた行くのは本人の責任だからということか?あるいは「自己責任論」が噴出したその空気を読んでのことか?(それにしても一般人が「危ないと知っていて行くのは本人が悪い」と生活感覚で語るのはいいとして、政治家や行政の人間までもが自己責任論を説くのはおかしいぞ)

 さて世間の出来事とは関係なく自転車でフラフラしている僕の目下の関心事項は明日のお天気だ。出発前の予報ではどこかで雨につかまりそうな感じだったが、はたして。…うむ、今のところはみごとな高気圧だ。明日も晴れ、と…。ただ、週間予報によると西側からやってくる低気圧に、いつかどこかでぶつかりそうなんだよなぁ。

 さて、けっきょくこの日の客は僕一人のようだった。まあツマランといえばツマランけど、しかし一人なら一人の時間の過ごし方というものがある。ユースだからといって交流だなんだと無理に一生懸命になる必要はないのだ。
 
僕は同年代の人間の中ではユースのヘビーユーザだとは思うが、決してユースのオタクではない。ユースでしか生きられない人間なんてゴメンこうむる。八幡平ユースのペアレントがかつて言っていた「ユースで交流とかあんなのは気持ち悪い」というのも今ではよく分かる。

 9時ごろ、階下からピアノの音が聞こえてきた。ペアレントの家族か?それとも誰か来たのか?しかしだからどうだというのでもなく、10時過ぎに寝る。

※この日走った箱根付近の3D画像はこちら(カシミールで描画しました)

次のページへ
前のページへ
自転車旅行トップへ戻る

日付
タイトル
走行距離
宿泊
まえがき
久々の自走旅行。
10月27日 サイバーチャリダー、箱根を登る。
96km
箱根レイクヴィラユースホステル
10月28日 意外に楽勝国道1号。
117km
ホテルユートリー
10月29日 国道1号も捨てたもんじゃない。
74km
清風荘
10月30日 酷道1号の雨。
98km

愛知県青年会館ユースホステル

10月31日

名古屋に初めての滞在。

-
愛知県青年会館ユースホステル
11月1日 ついに鈴鹿に到着!
71km
コンフォートイン鈴鹿
11月2日

嵐の前の旧道探索。

53km
コンフォートイン鈴鹿
11月3日 鈴鹿8耐参戦レポート。
153+20km
コンフォートイン鈴鹿
11月4日

旧道探索、スタート。

115km
愛知県青年会館ユースホステル
11月5日 ちゃりログが必要なルートとは。
102km
浜名湖ユースホステル
11月6日 再びレース。最高記録更新を目指せ!
176km
ホテルサンポート
11月7日 ユース開眼の地、御殿場へ。
81km
御殿場ユースホステル
11月8日 ただいま戻りました!
113km

-

あとがき

なんちゃってチャリダーの金字塔。



トップページ自転車旅行に出かけよう自転車に関する私的考察始末記管理人よりメルマガGPS