10月3日:はがれそうな一日。

走行距離:115km
ルート :興部(おこっぺ)〜浜頓別
宿 泊 :とほ宿「トシカの宿」


 夜中に尿意を催したのでトイレに行く。宿舎に戻るとなぜか全員起きて、灯りがついている。見ると僕が寝ていたもう反対側の隣のライダーさんの様子がおかしい。「ど、どうしたんですか!?」僕がスープぶっかけご飯をもらった親分肌ライダーが介抱している。「なんか発作みたいなんだ」「!?」不安げに見守る他のメンバーたち。

 結局救急車を呼び、親分肌ライダーが付き添って彼は病院へ。うーむ、、、、重苦しい気配が室内に漂う。結局その後は朝までうとうとしたり、また皆でお話ししたり。彼も一人旅のようだが、何かあったとき、仲間がいないというのはとても恐ろしいことだ。残った皆で、彼の身許を確認できるものを荷物の中から探すが見つからない。免許証や財布、彼はちゃんと携帯していったのだろうか?

 彼は結局早朝になって戻ってきた。どうやらてんかんの症状を持っているらしく、「心配かけました」と恐縮している。無事で何よりだったじゃないか。そして、こういうときに周りに指示を出して事態を打開できる、あの親分肌ライダーのような人は、ほんとエライと思う。

 朝7時、皆で記念撮影し、僕は他のライダーに先発して出撃する。さらば、さらば。やはり同宿の人がいるというのはいいことです。

 天気は台風一過、素晴らしい快晴!しかし!この日は終日横風が猛烈だった!耳に聞こえるのは一日中風の音だけ!ひゅごぉうぉうぉうぉうぉうぉう〜ぶぉぉおおおお〜。切れ目なく横風が吹きつけ、みるみるうちに消耗していく。

 向かい風でないのが幸いだったが、常に両腕に力を込めていないと、横風にあおられてヨロヨロと車道に押し出されそうになってしまう。自転車のコントロールさえままならない激風だ。風が吹きつけてくる左側に身体を車体ごと傾けないと、まっすぐ走ることができない!少しでも気を抜くと、自転車ごと道路から引きはがされ、オホーツク海までもっていかれてしまうにちがいない。

 びゅおう! 激風の中のさらなる突風にあおられ、見事に転倒する。風に吹かれて転ぶなんて、生まれて初めての経験だ。まったくまいったぜ。2001年3月に、遠州灘沿いを走っているときに浴びた強風を思い出した。

 午前10時、紋別で一緒になったカブの男に追い抜かれざまにあいさつされる。こちらも手を振って応える。さらば、カブ。自分のやりたいこと、見つけ出してくれよ〜。

 午前11時半、道の駅岡島にピットイン。もうひたすら疲れた。国道を外れ、駐車場に向かってハンドルを切って入線すると、一台のバンに追い抜かれ、中から昨晩同宿だったカップルが降りてきた。カップルといっても二人とも日に焼けており、旅慣れていることをうかがわせる。渋谷とか清里とか、うそくさいムードとは無縁の気分の良い男女だ。

 「きっとこの風だから、疲れてどこかで休んでいるところをつかまえられると思ったよー」・・・ご明察のとおりです。何でも彼らは全国の道の駅を極める旅をしており、残すところあと2カ所だという。素直にすげー!!

 先を急ぐ彼らは早々に出発したが、僕は疲れたので休む。イクラ丼の昼飯だ。ほんと、毎日こういう物ばかり食べている気がする。まあ、あせらず、ぜいたくに、のんびり行こうではないか。別に貧乏なわけじゃあないんだし。

 風はいっこうにやむ気配を見せず、結局この日は浜頓別まで一日中風に吹かれっぱなしだった。

 4時半、浜頓別市街に入り、宿を探す。二日前に網走に来た段階ですでに予約済みなのだ。ヘロヘロになりながらどうにかこうにかとほ宿「トシカの宿」に到着。オーナーさんから、苦笑いで「どーも、おつかれさまです」と出迎えられる。「いや、ほんましんどかったですよぉ」

 この日の宿もこれぞまさしくとほ宿!というかんじだった。談話室は大盛況。一人、ニュージーランドを自転車で一周したという男からいろいろレクチャーを受けるが、なんちゃってチャリダーにはとても手の届かない話なので申し訳ないのだ。また、周りの人から連泊を勧められたりもしたが、あくまで宗谷岬に到達するのが目的なので、涙をふるって連泊の誘惑を断ち切る。

 そしてこの日も、ライダーの中にやはりホンダのカブで旅行している男がいた。昨日のカブ男もそうだったが、カブって人気あるんだなぁ。僕も、もし二輪免許とったらカブにしようかしらん。ちなみに今日のカブ男の愛車は黄色だった。カブといえば出前の緑色のものを思い出すが、いろいろなバリエーションがあるらしい。

 そんなこんなでこの日もにぎやかに夜は更けていった。

↑にぎやかな夜でした。

 この日に書いた手帳メモからの抜粋。「明日、宗谷岬に着く。何があっても着く。ここまで来る途中、多くの”積み残し”をしてきた。いつ、取り返してやろうか?連泊、寄り道、これらをするのはいつになるだろう?」

 というわけで足かけ3年、東京からほとんど脇目もふらずにここまで走りつないできたが、見逃したおいしい場所もたくさんあるのだ。いつかはそれらへの再訪の旅というものをやりたい。しかし、今は何よりも宗谷岬に行くことが一大目標なのである。

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日付
タイトル
走行距離
宿泊
まえがき
3年越しの北上旅行、これでトドメ。
9月27日 急に冷え込む北海道。 102km 砂川駅前旅館
9月28日 層雲峡を目指せ。 113km

とほ宿「ゆわんと村」

9月29日 層雲峡攻略戦。 150km 美幌ユースホステル
9月30日 森を越え丘を越え。 111km なかしべつ温泉ライダーハウス
10月1日 逃げるべし、台風から。 123km とほ宿「ほくい44」
10月2日 漆黒のオホーツク海。 137km 道の駅おこっぺ
10月3日 はがれそうな一日。 115km とほ宿「トシカの宿」
10月4日 最終目標。 95km ライダーハウスみどり湯
10月5日 極めたのは何人目。 2km -
あとがき

終わらない旅。


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