12月31日:師走疾走。

走行距離:約70km
ルート :佐倉〜成田〜銚子・犬吠埼
宿 泊 :犬吠埼君ヶ浜(テント)


 さて、年末である。大掃除や年賀状書きをようやく終え、あとは走るのみよ。

 朝9時半頃に家を出る。最寄り駅まで自転車と荷物をかついでいくが、輪行の中では毎回のことながら家から最寄り駅までの移動が最もつらい。

 電車に乗り込み、新宿を経て東京へ。東京から内房線、総武本線を乗り継ぎ、千葉県の佐倉まで行く。自宅から自走していると初日の出に間に合わないのだ。だからといって銚子まで輪行してしまうのも「走って初日の出を見に行く」というかんじがしないからつまんない。なので間をとって佐倉まで電車なのだ。

 昼12時半、佐倉駅前で自転車組み立て完了。今回はタイヤをはずすだけの手抜き輪行だったので組み立ても楽々だ。コンビニで腹ごしらえをし、さて走るか。お?しまった、距離メーターを持ってくるのを忘れたー。なんてこった、走行ペースをつかむのがタイヘンじゃないか。とはいえ今さら家に引き返すわけにもいかず、今回はメーターなしのまま走ることに。1時、走行開始。

 千葉県は日本の中でも最も産地の少ない平らな県であり、峠というものが、特に下総方面では全くない。なのでかなりハイペースで走れることは予想できたが、はたしてその通りだった。佐倉を出発して1時間弱、国道296号を使って成田に到着。空港近くの展望台から飛行機が舞い降りてきたり飛び立ったりするのをしばし眺める。

 飛行機が飛び立つ姿はいつまで見ていても飽きないが、いつまでそうしていても銚子には着かないので、出発。引き続き国道296号を東進するが、多古町で不覚にも道に迷ってしまった。不規則なぐにゃぐにゃ曲がった道路で、交差点も十字路ではない。ツーリングマップルにもこんな細い道は載っていないし、、、。日はどんどん西に傾いていく。あせる!

 3時頃、偶然見つけた「道の駅多古」で休憩し、この先のコースを落ち着いて確認。

 ホットケーキとコーヒーのセットを注文し、あたたまる。年末だが意外に客が多く、アルバイトと思われる店内スタッフがそろいもそろって不慣れで、注文の品が出てくるまで結構待ってしまった。今日は夜間走行になるなーこりゃ。

 3時半出発。国道をはずれて「東総広域農道」に入る。交通量もそれほど多くなく、田んぼの中をつらぬく農道のため、アップダウンもほとんどない。巡航速度30km近くを余裕でキープできる。

 田んぼの中にこんもりと木が茂った台地がウネウネと続いているが、これは洪積台地といって千葉県北部に典型的に見られる地形であり、かつては全面台地だったものが雨などで浸食され、現在は耕作地(田)となっている高さまで下がったのがこの平野なのだ…と、たしか高校の地理の時間に習った。

 絶好調のまま、農道を走り終わる。時計を見るとまだ4時25分。地図上の計算だが1時間で30km近くを走ったことになる。多古町での遅れを少しは取り戻せたかな?しかしいよいよ空は夕暮れどきだ。急げ〜!
 
 しかしあろうことか、またしても道を間違えてしまった。利根川を目指して東に進まなくては行けないところ、誤って道なりに走ってしまい、北に向かってしまったのだ。暗闇の中の道路案内図でたまたま間違いに気がついた。どこかで右折せねばならなかったのだが、どこでだろう?
 農道を走り終わったとき「あと2kmで右折だな」と確認したにも関わらず…。いつもメーター頼みで走っているからこうなるのだ。体感で自分が走った距離を正確に分かるようでないとなぁ。

 人に訊こうにも、周りは林ばかりで人っ子一人歩いていない。うーむ、弱った。もうすっかり空は暗くなってしまったし。とりあえず元来た道を引き返す。

 お?雑貨店発見!店じまいをしている最中のようだった。お店の人や訪れていたご近所の人に道を尋ねる。
「今自転車で旅行をしていて、これから銚子まで行きたいんですけれど…」
「ああ!だったらここに来る途中右に上がる坂があったでしょ?あっちよ。ちょっと行きすぎちゃったね」
「ありがとうございます!!」

 …そういえばそんな坂があったようななかったような。そしてここでも、荷物を積んだ僕の自転車を見て、その場に居合わせた地元の皆さんから「おー」「おー」としきりに感心され、驚かれるという毎度おなじみの光景になるのだった。

 そしてくだんの坂(地方道23号線)にたどり着く。結構急な登りだ。今回初めての登坂である。キリキリと登るがあっという間に登りきってしまった。今度は一気に下る。再び快走し、利根川沿いの国道356号にぶつかる。あとは道なりに銚子の中心部目指して走るだけだ。

 …が、なんか自動車の量がものすごいなぁ。大みそかにみんなこんなに出かけなくてもいいじゃんかヨーとも思ったがもしかしてこの人たちみんな初日の出を見に行くつもりじゃなかろうか?

 狭い狭い銚子の旧市街を走り抜け、6時20分、ようやく海沿いの道に出る。ローソンで肉まんを食べて暖まり、店員に初日の出スポットである君ケ浜までの道を訊く。もうあとはこの海沿いの道を南に走っていくだけらしい。よし、楽勝だな。ついでに観光客向けの銚子市街と初日の出案内地図をもらってしまった。

 途中の海岸でテントを張れそうなところを探しつつ徐行し、場所によっては自転車から下りて偵察をするがなかなか難しい。波打ち際に近すぎたり岩場だったり。やはり君ケ浜まで行ったほうがよさそうだ。それにしてもこの海沿いの道、自動車が多すぎるぜ。考えることはオレも含めて皆いっしょだったのだ。チャリダーは一人もいないが…。

 やがて犬吠埼近くの君ケ浜公園に到着。砂浜の幅も結構あるし、トイレもあるし、自販機もあるし、すぐ向こうには灯台も見えるし、なかなか具合がよさそうだ。駐車場には大量のキャンピングカーが泊まっていた。考えることは皆いっしょだったのだ。


<君ヶ浜にて>

 というわけで7時頃、砂浜の片隅で自転車を止め、荷物を下ろして野営の準備をする。

 お?オレの他にも何張かのテントがすでに立っていた。マウンテンバイク1台、バイク3台も近くに止まっている。うむうむ考えることは皆いっしょだったのだ。なんだオレだけじゃなかったのかと「一人優越感」が崩されるのを残念に思う一方で、そうかオレだけじゃなかったのかと、他の人と同じという「みんなで安心感」を感じているのもまた事実。嬉しいような悔しいような。

 7時半頃、野宿の準備を完了し、すぐそこに見えている小型の喫茶店兼レストランといっ た風の店「ベイハウス」に夕飯を食べに行く。ハンバーグ定食1200円コーヒー付。うーむ値段の割にちょっとボリュームが物足りないなー、まー自転車で走ってきた後だからなあ。

 隣のテーブルではどこかの母娘がやはりハンバーグ定食を食べている。僕がヘルメット持参、反射帯装着、青いジャケット、といういでたちだったので、交通整理の警備員と勘違いされたようだ。興味津々の母娘が話しかけてくるのでしばし世間話。

 二人は鹿嶋から来ているとのことだった。娘の方は中学生だったが、なかなか頭がよさそうなかんじだ。わざわざ自転車で走ってきて初日の出を見るというのは彼女にとっては驚きかつ新鮮なようだった。

 大人になるにつれ「何を暇な…」とか「そんなことなぜやるんだ?」という反応を示す人が増えるのだろうが、素直に驚けるその感性をいつまでも持っていってもらいたい、と思った。

 店を出た後、犬吠埼まで歩いていってみる。その途中の露店で買ったホタテやイカの串焼きのうまいことうまいこと。灯台の下まで行ってみたが、同じように散策している人が大勢いた。考えることは皆いっしょだったのだ。こういうのって、不思議な連帯感がただよう気がする。

 灯台を離れ、砂浜も歩き回ってみるが、やはり散策している人は大勢いる。うむうむ。やることもなくなってしまったので、股引きをはき、背中やお腹、足の指先などにカイロを貼り付け、寝袋に潜り込む。夏用の封筒型寝袋なので、密閉度が物足りないが、まあ死ぬことはないだろう。10時半、寝る。レコード大賞も紅白歌合戦も関係ないもん。中島みゆきが出てくれるというなら別だけれど…。


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日付
タイトル
走行距離
宿泊
まえがき
新ネタを求めて。
12月31日 師走疾走。 約70km 犬吠埼君ヶ浜(テント)
  たき火とともに、過ごす夜。 - -
1月1日 突貫九十九里浜。 64km 九十九里浜白子ユースホステル
1月2日 突貫外房。 91km 浜の文治
1月3日 自分の足跡。 26km -
あとがき 企画倒れか。

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