9月24日:決戦わんこそば。

走行距離:走行なし
ルート :八幡平〜バスで盛岡〜新幹線で東京


 7時起床。朝飯を素早く食べる。自転車と荷物の一部をユースに預ける。また2週間後、10月の3連休に旅行の続きをやるので、それまでユースの乾燥室(スキーシーズン用)に置かせてもらえることになったのだ。着替えの入ったザックだけ背負い、チェックアウト。

 ユースのすぐ近くにある、五色沼周辺を散策。季節によってプランクトンの種類などが変わり、水面がさまざまな色に変化するという。この日は深い紺碧色だった。池に映った山並みが美しい。また、眼前には見事な雲海が見える。

 9時、ユース前のバス停から盛岡発の路線バスで見返峠を目指す。2週間後、自転車で登る道がどんな具合かを見ておきたいのと、予め晴れているうちに八幡平の頂上まで行っておき、2週間後が悪天候だった場合の保険である。
 八幡平は楯状火山といって、富士山のような三角型の山(成層火山)ではない。どちらかといえば台形に近い形の山なので、上に登れば登るほど斜面が急になるわけではない。むしろ、斜面の下の方が傾斜は急で、ある程度登ってしまえば傾斜は緩やかになっている(それでも急は急だが)ようだった。

 20分ほどで見返峠に到着。さっそく散策路を歩く。…絶景かな。周囲の八幡平山系にくわえ、すぐそこには岩手山。そしてはるか彼方には鳥海山、八甲田山、そして遠野の早池峰山などが見えるではないか。大パノラマに感動し、写真も撮りまくるが、コンパクトカメラではまったくカバーしきれない雄大な山並みなのだ。

 結局遊歩道という遊歩道をほとんど歩き回り、八幡平頂上にも到達し、さて、2週間後の紅葉の季節が楽しみだ。

 11時45分、盛岡行きのバスに乗って下山する。よぅし、2週間後はこの坂を登りきるのだな…やってやるさー、やってやるぜ。戦闘意欲がふつふつと湧いてくる。前日自転車で通った道のりをちょうど逆方向に走り、1時半、盛岡到着。

 帰りも新幹線なので、東京に戻るにはまだ早い。そこで盛岡名物わんこそばに挑戦することにした。岩手県のガイドブックに載っていた「初駒」という店が一番近かったので、いざ、乗り込む。わんこそば梅コース2500円ナリを注文すると、2階の宴会場に案内された。ちょうど親子3人連れの家族が食事をし終わったところだった。

 わんこそばの薬味セットが運ばれてくる。そしてお椀にそばを入れる役の店員が、わんこそばの説明をしてくれる。だしを飲むとあまり食べられなくなるので、余っただしはこの大きい器に入れるように。もういいと言うまでそばは投げ続ける。一杯一杯は本当に少ししか入っていない。ちなみに先ほどの家族連れの男性は、96杯(!)食べた。店の最高記録は、男性で220杯、女性は200杯くらい。200杯って…。

 前掛けを着け、では、いざ!
 「はい」と言いつつ、店員が僕のお椀にそばをあける。「ズル」と僕はそばを食べる、というか飲み込む。
 「はい」「ズル」「はい」「ズル」「はい」・・・の繰り返しであっという間にスタートダッシュで30杯ほど食べる。なんだーこんなもんか?全然まだいけるぞ。店員さんも「まだ全然大丈夫でしょう?」と訊いてくる。そりゃもちろん。なんかいくらでも入りそうな気がするよ。

 「はい」「ズル」「はい」「ズル」「はい」「ズル」「はい」「ズル」「はい」「ズル」「はい」「ズル」・・・リズムを覚えるとペースも安定して速くなっていく。しかしそれでも最初は律儀にそばを味わってもいた。せっかく豊富な薬味とうまいそばがあるわけだから。それでも店員さんの「はい」の掛け声に乗せられ、60杯ほどは食べたようだった。奥ではまだまだそばをゆでている。

 「はい」、「ズル」、「はい」、「ズル」、「はい」、「ズル」…ちょっとペースが落ちてきた。一口で飲み込むというわけにはいかず、若干モグモグするようになる。目の前に積み上げられたお椀、ざっと見て100杯ほどあるだろうか?

 「はい」、「ズルル」、「はい」、「ズルルル」、「はい」、「ズルルルル」、「はい」、「ズル、ズルルル」…明らかに苦しくなってきた。腹9割5分は過ぎている。目の前のお椀は多すぎて、もはやどれだけ食べたのか見当もつかない。しかしまだまだお盆にそばがのせられてくる。

 「はい」、「モグモグ、ズルッ」、「はい」、「モグモグモグモグ、ズル、ズルル、ズズー」、「はい」、「モグモグモグモグモグモグ、モグモグモグ、ゴックン」、「はい」、「モグモグモグモグモグモグ、ウプ、モグモグモグモグ、ゴッックン」も、もういりませーん。

 お椀のカウント開始。店員さんがお椀を20個ごとに積み重ね、数えていく。
「えーと、全部で144杯ですねー」
 おお、いつの間にそんなに食ったんだ?それってスゴイのか?まあ店の記録には遠く及ばないとはいえ、普通の成人男性としては健闘したほうだといえるのではないだろうか。

 お茶が運ばれてきて、一服する。記念に写真撮影。うーむ、動けない。まじで動けない。「ゆっくりしていってくださいねー」「はい…」畳の上で一人仰向けに寝転がる。うーむ。満足満足。
 お腹が落ち着いてきたところでグフグフと腹の底から征服感が湧いてきた。
 「フフフフ、いくら175cmで60kgないからといってなあ、なめんじゃねーぜ

 午後3時50分、盛岡発東京行きの新幹線で、帰る。また明日から仕事だ。


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日付
タイトル
走行距離
宿泊
まえがき
見どころ満載、観光もしたいではないか。
9月11日 不安のつきない出発。 - ビジネスホテル増花
9月12日 激走国道4号。 136km メイプル仙台ユースホステル
9月13日 続・激走国道4号。 114km 北上川・高舘橋下(テント)
9月14日 君は「炎(ほむら)立つ」を見たか 82km 遠野ユースホステル
  遠野ユースホステルでの一夜。    
9月15日 初の連泊・遠野ポタリング。 75km 遠野ユースホステル
9月16日 さらば遠野。 - -
       
9月22日 また来た遠野。 - 遠野ユースホステル
9月23日 岩手山に励まされ。 121km 八幡平ユースホステル
9月24日 決戦わんこそば。 - -
あとがき 制約された自由の中で。

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