9月14日:君は「炎(ほむら)立つ」を見たか。

走行距離:82km
ルート :平泉〜江刺〜遠野
宿 泊 :遠野ユースホステル


 朝5時40分、目が覚める。ふう、よく寝た。テントが夜露で濡れてしまったので、風通しのいいところにテントを移して乾かし、自分は早朝の散歩に出かける。テントを張った高舘橋の北側に義経堂という祠があるそうなので、歩いていってみる。畑の間の細い道をテクテク歩き、義経堂のある小高い丘の上に登る。朝のひんやりとした空気が肺にウマい。

 美しい!黄色く輝く一面に広がる田んぼの真ん中を、北上川が蛇行して流れている…。写真を何枚か撮るものの、コンパクトカメラの視野ではとらえきれない。

 7時半頃テントに引き返し、テントをたたんで撤収準備をする。荷物のパッキングを済ませ、毛越寺へと向かう。毛越寺は奥州藤原氏第二代の藤原基衡が建立した寺院。極楽浄土を再現したというその庭園がみごと。池があってその真ん中に岩を配し、という庭園らしい庭園だった。池の前にて記念撮影。
 毛越寺を出るとき、境内の毛越寺ユースで、女の子2人連れチャリダーが出かける準備をしているのが見えた。二人とも見事に日焼けをしており、モノホンのチャリダーであることがうかがいしれる。二人はやがて宿の中に入ってしまったので、話せずじまい。

 自転車を走らせ、次は中尊寺だ。自転車を、レストハウス近くの駐車場に置かせてもらう。お目当てはもちろん中尊寺金色堂。急坂の中をスッタカスッタカ歩き、保護用の覆堂に囲まれた金色堂にたどりついた。中へ入ってびっくり!ホントのホントに黄金ぴかぴかなんである!キンキラピカピカ、瓦から、柱から、床板から、何から何まで金ピカなのである!こんなんよく作ったよな〜。

 続いて昭和期の金色堂移設&保護前の、今は空っぽの旧覆堂を見ていたとき、40年以上前に中尊寺を訪れたという男性から話しかけられた。昔はサイズぎりぎりの覆堂だったので、今のように全身金ピカの金色堂全体を見ることは出来なかったらしい。金色堂の保護事業に、感謝だ。

 中尊寺境内を下りて、近くの平泉レストハウスにて「餅五品」を食べる。ずんだ、あんこ、しょうが、なめこおろし、雑煮のお餅セットで1300円。う、うまーい!特にずんだがお気に入りだ。

 というわけで奥州藤原氏の栄華の跡を駆け足で堪能した後、10時半頃、ようやく北上を再開する。水沢から国道4号を外れ、地方道8号を使って北東に進路を取る。花巻を経ずに、直接遠野に行くのだ。

 しかしその前に行くべきところがある!「えさし藤原の郷」である。奥州藤原氏を描いたNHK大河ドラマ「炎立つ」のロケセットを、そのままテーマパークとしたもの。平安期の建物を再現した施設は他にはないとのことで、このあたりの新しい観光スポットになっているという。「炎立つ」にハマった僕としては、外せない場所だ。12時半到着、ただちに自転車を降りて、中へ。

 おお、あの館この城門、ドラマ中に出てきたのを今でも覚えているさ!ただ建物がボンとあるだけでなく、大河ドラマ撮影時の様子を紹介したボードがあるのも嬉しい。本物の遺跡ではないにもかかわらず、あちこち写真を撮り歩いてしまった。

 結局2時半までここで過ごし、食堂でカレーを食べて出発。一気に遠野まで行くぞ!江刺から東和町のダム湖までは登り一辺倒。特に地方道27号に入ってからの登坂は激烈だった。がまんがまん、ひたすらがまんの登りである。登っている間は、いったいこの登りはいつまで続くのか〜と不安感にかられる。何度登坂を経験しても、登坂中の絶望感は変わらない。

 そしてその後はおきまりのダウンヒル。ダム湖に向かってしゅごーと下っていく。しかし、このとき雨がぱらついてきたのであった。しかしスピードをゆるめるのはもったいない。ほったらかしで下っていたら、今度は本格的に雨が降りだし、あっというまに土砂降りになってしまった!カンベンしろよー。もう服は濡れてしまったので、今更カッパを来ても遅い。ナイロンズボンに、発散力抜群のTシャツを着ているので、まあいいか。登りのときに降らなくて、よかったー。

 ダム湖と、そこから流れ出す猿ヶ石川沿いに国道283号を進むが、4時過ぎ、雨宿りをかねて沿道の休憩所に駆け込む。そこで名物「わさび団子」を注文。通常の串団子で、ワサビが使われているという緑色のあんこがかかっている。…なんとも形容しがたい味だった。甘い団子を食べて、鼻がツーン!とするなんて、初めてのことだ。

 雨は小降りになってきた。空は薄暗い。宮守村から遠野市に入ったところでサイクリングロード発見!素晴らしい…。早瀬川沿いのサイクリングコース…必ずしも自転車専用道というわけではないが…天気がよければ気持ちいいコースだろうなあ。

 午後5時、遠野駅前に到着。なるほどユースに電話したときにペアレントさんが話していた通り、祭りの真っ最中だった。獅子舞や山車、神輿があちこちを練り歩いている。明日も祭りはあるそうなので、祭り見物はほどほどに切り上げて、とりあえず、夕飯。岩手県のガイドブックで読んだ「一力(いちりき)」という店で「ひっつめ定食」を食べる。ひっつめというのはすいとんのような物で、このあたりの特産らしい。

 もう外は真っ暗だ。祭りの混雑を避け、道に迷いつつ、ユースを目指す。駅からユースまでは意外に離れており、真っ暗な一本道を不安にかられながら走っていく。夜7時、ようやく遠野ユースホステルに到着。今日は盛りだくさんの一日だった。そして、この後も盛りだくさんなのだった。

 この日泊まった遠野ユースは、はっきり言って、これまでに泊まったどんなユースとも、別格である。遠野ユースについてはページを改めて書き記したい。

遠野ユースホステルにて


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日付
タイトル
走行距離
宿泊
まえがき
見どころ満載、観光もしたいではないか。
9月11日 不安のつきない出発。 - ビジネスホテル増花
9月12日 激走国道4号。 136km メイプル仙台ユースホステル
9月13日 続・激走国道4号。 114km 北上川・高舘橋下(テント)
9月14日 君は「炎(ほむら)立つ」を見たか 82km 遠野ユースホステル
  遠野ユースホステルでの一夜。    
9月15日 初の連泊・遠野ポタリング。 75km 遠野ユースホステル
9月16日 さらば遠野。 - -
       
9月22日 また来た遠野。 - 遠野ユースホステル
9月23日 岩手山に励まされ。 121km 八幡平ユースホステル
9月24日 決戦わんこそば。 - -
あとがき 制約された自由の中で。

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