5月5日:見よ、高校球児の熱戦を。

走行距離:94km
ルート :軽井沢〜高崎〜長瀞
宿 泊 :長瀞、荒川河原(テント)


  実は軽井沢から先どうするかは、決めていなかった。もう少し浅間山を横目に北上してみるか、あるいは高崎まで下って、そこから電車で帰るか。

 テントを撤収し、軽井沢駅の観光案内所に行ってみる。軽井沢には小学生の頃、林間学校で来たことがあるのでもう一度行きたいポイントがある。そして「鬼押出」や「白糸の滝」に自転車で行けるかどうかを訊いてみた。しかし残念ながらどちらとも自動車専用道を使わなくてはアクセスできないとのことで、断念。素直に高崎方面に下ることにした。

 国道18号を東に走るがほとんど登りはない。碓氷峠は「峠」とはいっても、関東平野側だけが急坂のようで、軽井沢は峠を登りきった所にあるのだった。余裕で碓氷峠のてっぺんへ。ここからふもとの横川までは何と184カ所ものカーブが続いているという。ダウンヒル開始!

 ひゅご〜っと新緑がよく映える林の中の峠道を下っていく。空気はうまいし、涼しいし。問題のヘアピンカーブも次々とクリアしていく。自動車はあまり通らないのでアウト、イン、アウトのコーナーリングを披露してみる。

 お?突如頭上に鉄道のものとおぼしきメガネ型のレンガ造りの橋が現れた。観光客が車を止めて橋の上などを歩き回っている。僕も行ってみよう。

 このメガネ橋は、長野新幹線開通前の、旧信越本線のためのものだという。ふもとの横川から軽井沢まで数百メートルの標高差に電車を通すためのものだった。橋は地上から数十メートルの高さを通り、橋を渡るとトンネル。他の観光客の話によると、トンネルをくぐっていけば横川まで徒歩で下りられるとのことだった。行ってみたいな…しかし自転車は通行禁止。後ろ髪ひかれる思いで再び自転車に乗って国道18号をダウンヒル開始。

 午前10時半頃、長いダウンヒルを終え、横川駅に到着。ここはご存知、元祖「釜飯」の駅だ。さっそく釜飯の総本山「おぎのや」にて釜飯を注文。あっという間にたいらげる。小学生のころも林間学校の帰り、横川のドライブインで釜飯食べたっけなぁ。

 再び進撃開始。国道18号を使って高崎に向かう。細かいアップダウンはあるが、おおむね平坦な道のりだ。旅行前の考えでは、どこに行くにしろ最後は高崎から八高線〜京王線を乗り継いで電車で帰ってくるつもりだった。しかし休日はこの日を入れてあと2日ある し、東京まで完全自走で帰れるかもしれない。

 引き続き国道18号を走っていると、突如前方から沸き起こるような歓声が聞こえてきた。な、なんだ?と前を見ると野球場発見。「高崎市営球場」だと。どこかのチームが試合をやっているようだった。物珍しいのでちょっと休憩がてら寄ってみることに。

 「前橋高校」と「東農大二高」の練習試合だった。500円を払い、外野の芝生席に陣取る。野球を観るつもりはあまりなくて、地図を広げて帰りのルートを検討するつもりだったが、目の前で繰り広げられる熱戦が予想外におもしろい!これはおもしろいぞ〜!

 バッターボックスで構えるバッター、キャッチャーのサインにうなづくピッチャー。第一球投げた!初球ヒッティング!かきーん!うぉ〜〜っと沸き上がる歓声、ボールは左中間を破り外野をころころ。疾走するランナーとバッター。ランナーがホームベースを踏むとさらに歓声が巻き起こる。

 おお、ライヴだよまさしく。どちらのチームを応援するというわけではないけれど、目の前で繰り広げられる熱戦と、観客席の応援団、野球ファン、球場という巨大舞台、どれもこれもが新鮮だった。

 実はこれまで、野球なんかタダでテレビでも見られるじゃん、などと思っていたけれど、生ならでは迫力は球場でしか味わえないということをこの日初めて知った。

 …ちょっと休憩がてらのつもりが、気がついたら2時間以上も観戦していた。試合は終盤、東農大二高がリードというところで球場を後にする。

 再び進撃開始!このまま関越道に合流し、東京に向かうのが近道だが、それではおもろーない。再び峠越えを敢行することに決めた。藤岡から主要地方道前橋長瀞線で南下し、秩父を目指すことにした。ひらけた平野部から再び山中へ。今回の旅行は峠ブチ抜きがテーマとなりそうだ。

 徐々に登りがはじまり、鬼石町、児玉町、皆野町と強烈な登りが続く。くは〜っ、これはキツい。距離はそれほどないが、勾配は野辺山峠以上だ。日が徐々に西に傾く中、きりきりきりと登り、長瀞(ながとろ)町に入ったところで一気にダウンヒル〜!

 そしてお決まりの宿泊地探し。荒川沿いにテントを張れそうな場所を探すが、川の上流は河原というものがほとんどない。うーむ…。長瀞は岩畳が有名だが、そのあたりでどうにかテント張れないかなあ。

 長瀞オートキャンプ場に行ってみる。自転車なら一泊1000円でいいという。あほくさ!金なんか出すもんかよ。

 川沿いの薄暗い狭い道をゆっくり走りながら進んでいくが、河岸ぎりぎりまで木々に覆われているのでテントを張るスペースがない。

 と思ったらぽっかりと空いた草むら発見!道路からは二段下がったところにあるので道路からは見えないし、河原との間には木が生えているので河原からもみえない。よし、ここにしよう。

 あたりはどんどん暗くなってくるので手早くテントを張る。そして次は晩飯だな…。荷物を下ろして身軽になった自転車に乗り、ヘッドライトを点灯して走る。5分ほど走ったところでカヌーハウス発見。定食屋も営んでいるようだった。豚の生姜焼定食をたいらげる。

 ついでにこの近くに外来入浴可の風呂はないかと聞いてみる。すると、近くのホテルにカヌーハウスの客が今から行くと連絡しておくから、そこの温泉に入りなさいというありがたい取り計らい。

 お礼を申し述べカヌーハウスを後にし、くだんのホテルへ。600円を払い、風呂へ。一人貸し切り状態だった。なんだかんだ言ってほとんど毎日風呂に入っているよなぁ。オレってラッキー。

 風呂から上がり、秩父鉄道長瀞駅近くのコンビニでおやつと缶入り果実酒を買う。テントに戻っておやつをボリボリ、お酒をキュピキュピやりながら地図を眺めているうちに、あっという間に眠くなってしまった。僕はアルコールには弱いのである。くー。

 何時間かすると目が覚めた。汗だくで猛烈に暑い。テントの外に出て涼む。再び寝ようとするが、今度はなかなか寝つけない。目を閉じて、物思いにふけってみる。


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日付
タイトル
走行距離
宿泊
まえがき
テントに泊まってみようではないか。
4月28日 どこにテントを張ったら、いいのかな。 50km 青梅、多摩川河原(テント)
4月29日 雨まみれ汗まみれ東京脱出。 78km -
       
5月3日 橋の下が今夜の寝床。 32km 八田村、釜無川河原(テント)
5月4日 橋の下が今夜も寝床。 111km 軽井沢、湯川河原(テント)
5月5日 見よ、高校球児の熱戦を。 94km 長瀞、荒川河原(テント)
5月6日 ありがとう、さらばマウンテンバイク。 104km -
あとがき 宿を探さぬ安心感。

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