3月15日:九州上陸作戦。

走行距離:35km
ルート :松山〜(フェリー)〜別府
宿 泊 :別府ユースホステル


 朝4時に起床。フェリーは6時半出港だが、ユースから港までは意外に離れているので早めに出発する。
 夜明け前の松山市街を走り抜ける。車はほとんど通らない、静かな町。

 港で乗船手続を済ませ、車両甲板から船に乗り込む。ふぁ〜まだ眠い…。2等客室に入り、備え付けのマットを敷いてさっそく眠り込もうとするけれど、何だかワクワクして寝つけない。甲板で外の風に当たりに行った。九州本土へ上陸するのは生まれてはじめて。とうとうここまで来てしまったなぁ…陸路が途切れてしまったのは残念だけれどなぁ…でも嬉しいなぁ……。
 今度は本当に眠くなってきたので、船室に戻ってぐっすり眠る…。

 朝10時頃、別府の港に到着。下り際に、車両甲板で扉が開くのを待っていた松山のライダーとお話する。・・・自転車だと、驚きのまなざしで見られる。

 そしてついに別府に上陸!
 港から南下して市街地に入る。別府は坂だらけの町だった。うーむ、ユースはいったいどこにあるのだろう?坂だらけの町をキィキィこいでユースを探し求めること2時間、ようやくたどりついた。しかしチェックインにはまだ早すぎるので、荷物だけ置かせてもらって市内を走ることにした。その前に、ハラへったな…。

 とある食堂の前で、中の様子をうかがう。外には温泉卵や芋まんじゅう売り場があるけれど、誰もいない。中にはお客さんがいるのかな…??と思ってうろうろしていたら、店のおばちゃんに引っ張り込まれ、けっきょくここで食べることになった。温泉卵は土産物で、メインは手作りカレーの店だった。十種類以上の野菜を長時間煮込み、独特の味わいがあるとおばちゃん2人は自信満々に語る。
 そして出てきましたカレーライス〜。もちろん大盛りをお願いする。う、うまい!!モウレツにうまいよこれ!コクがありマイルドでそれでいてピリっとした辛さが…とにかくうまい!いや〜おばちゃんに引っ張られて正解だった。こんなうまいカレーはめったに食べられないよマジで。

 食べ終わった後、コーヒーをすすりつつ、おばちゃん2人と、外から戻ってきたおねーさん(おばちゃんの娘らしい)としばし歓談。そしてまたしてもここで「今高校生?」と訊かれた。そんなに幼く見えるか?
 僕は威厳とか貫録の方にあこがれますと言ったら、おねーさんから「そういうのはいろいろな人生の波風を乗り越えて身に付けていくものでしょ?今はまだいいじゃない」と言われてしまった。ハハー、そのとおりでございます…。
 餞別に温泉卵や芋まんじゅうを大量にいただき、重ね重ねお礼を申し述べ、出発する。さーてどこ行こうかな??

 とりあえず別府だから地獄巡りだろうな…と思って地獄を巡ることにした。やっぱミーハーな観光も少しはやってみたいじゃん?…で、結論から言うと、これは完全に失敗だった。地獄巡りというからには、もっと壮大で圧巻なものかと思っていたけれど、あんな時代遅れのチャッチイつくりものなんて!だまされたぜ本当に。1000km以上自転車で走ってきた者にとっては、まったく何の腹の足しにもならない…。と言いつつ、8つの地獄をすべて制覇した自分もかなり意地っ張り。

 じゃあ温泉めぐりでもすっかーと思って再び坂道だらけの別府を走りだす…が、しかし、本当に町中坂だらけで、道路は狭いし、ひぃひぃふぅふぅ、移動するだけでくたびれてしまった。あー、とりあえず休もう〜。結局、外湯に入ることもなく、ユースに戻った。


<宿にて>

 チェックインを済ませ、部屋に入ると、おーいましたいましたホステラーさん。大阪の羽曳野から来たという養護学校の先生(男50代)、関西から走ってきた会社退職ライダー(男27歳)。このライダーのお兄さんが、何と僕と中学・高校が同じだった。世の中せまい。二人とも、当然関西弁を話すわけで、その関西弁はすっかり僕にもうつってしまう。僕も中学・高校の6年間を奈良で過ごしたから、相手が関西弁だと自分も関西弁(ニセものだけど)をしゃべることが出来るのだった!

 夕飯までの間、いろいろとお話したけれど、羽曳野の先生からは「そんだけ自転車で走ってるんやったら、その実績をひっさげて就職先で自分を売り込めるのにもってこいやろ、男なら」と何度も言われた。そう。そうなんスよ。旅が進むにつれ、景色や道路や温泉を堪能するという物見遊山的な旅行から、だんだんと自分を見つめる、自分を鍛える「修養」旅行に変わってきている気がしていたところ。なんというか、身体の内側からフツフツと熱いマグマのような自信が湧いてくるようなかんじ。

 旅を終えたとき、自分はどんな感想を抱くのだろうか?

 夕飯を食べた後、ユースの内風呂に入る。内風呂もあなどれないぜ!もちろん本物の温泉を使っていて、浴室も岩風呂風、の〜んびりできる。ふぁ〜〜〜〜、昨日に続き、今日も温泉か。なんてゼータクな。

 風呂に入ると、急に脱力してしまった。談話室で一人で地図を広げる。他のホステラーはものすごい盛り上がっているけれど、ときどきそういうのがしんどく思えてしまうときもある。

 当初は北九州〜太宰府〜熊本〜人吉〜鹿児島と走る予定だったけれど、別府上陸によりこれらの旅程はすべてリセット。新たに計画を組まなきゃ。ツーリングマップル九州をパラパラ見ながら、ルート取りを考える。

 ドレッドヘアーのユースのヘルパーさんの意見も参考にしつつ、国道10号を使って佐伯〜延岡〜宮崎、と走ることにした。このヘルパーさんからは「別府には1日しかいないんですか?えー!?」と言われてしまったが、うむ、今回はとにかく走破することが第一目的だから…うーむたしかにもったいないことはもったいないけれど…。もっと日数が有り余るほどあればなぁ。そうすると今度はお金が足りなくなる。

 九州には、また来ないとね。


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日付
タイトル
走行距離
宿泊
まえがき
ついに、このときが。
3月3日 キミは、登りきることができるか。 100km 箱根レイクヴィラユースホステル
3月4日 土砂降りの雨、一車線の人生。 106km 焼津セントラルホテル
3月5日 東海道しっかりせよ、怒り号。 100km 浜名湖ユースホステル
3月6日 一筋に、一筋に、無敵の男。 95km 愛知県青年会館ユースホステル
3月7日 天からミゾレの関が原。 110km 近江八幡ユースホステル
3月8日 転勤族の故郷とは。 83km 実家
3月9日 作戦変更。 実家
3月10日 父子伴走。 71km ビジネスホテルともえ
3月11日 瀬戸内旅情で休んだ。 82km ユースホステル浄運寺
3月12日 口角泡を飛ばした夜。 93km 倉敷ユースホステル
3月13日 決断のとき。 94km 瀬戸田ユースホステル
3月14日 春のうららの海だわさ。 89km 松山ユースホステル
3月15日 九州上陸作戦。 35km 別府ユースホステル
3月16日
神が舞い降りた日。
126km
シティホテルプラザ延岡
3月17日 ひとり上手と呼ばないで。 88km 宮崎県婦人会館ユースホステル
3月18日 ダサいキツネと依怙地のタヌキ。 59km 都城ユースホステル
3月19日 桜島だ、いよいよ。 69km 桜島ユースホステル
3月20日 ずっこけるな、三人組の大競争。 49km 圭屋(たまや)ユースホステル
3月21日 佐多岬はるかなり。 22km 錦江湾サウスロードユースホステル
3月22日 決戦、あばよ、早くー。 58km JR志布志駅待合室
3月23日 さらば、さらば。 1km 大島汽船「ありあけ」2等席
3月24日
日常へ。
34km
あとがき オレの勲章はオレのもの。


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