3月11日:瀬戸内旅情で休んだ。

走行距離:82km
ルート :神戸〜明石〜姫路〜御津
宿 泊 :ユースホステル浄運寺


 朝、神戸を出発。早く都会を抜け出したい。ペダルをこぐ脚の動きも自然と速くなる。日曜早朝の国道2号はほとんど車が走っていない。歩道の人影もまばら。思いっきりスピードを出せるのが嬉しい。

 垂水区で頭上に明石大橋が見えてきた。んー、やはり大建造物って言うのは感動する。壮観なり〜壮観なり〜。カップル2組から、写真を写してくれと頼まれ、そしてまた僕の方も写してもらう。
 神戸を抜け出し、明石に入り、明石駅近くで日本標準子午線(東経135度)にさしかかった。何か記念になるものはないかとしばらくあたりを走り回ったけれど、見つからなかったのであきらめて再び西に向かう。

 やがて国道2号と250号の分岐点にさしかかった。内陸寄りの2号と海寄りの250号。姫路まで並行しているが、ツーリンマップルによると250号の方が走りやすいそうなので、250号を選んだ。ただし、250号を選ぶと姫路の内陸にある姫路城を見ることが出来ない…また、観光ポイントを逃しているぞ。

 しかしまあ走りやすさを優先させて、250号、別名「明姫グリーンロード」を快走する。250号には自転車道こそないものの、歩道が意識的に幅広くとられており、自転車にとっては申し分のないルートだった。同じ幹線道路でも、東海道とは大違いだな……。まっ たく、東京にも見習ってもらいたいもんやなぁ。

 今日も距離的には刻んでいくつもり。気になる左膝は、今度は50km走っ たあたりで、痛いというほどではないけれど、違和感を覚える。近江八幡で同室になったチャリダーの言う通り、80km/日のペースに落としていこう。ただこれだと関門トンネル経由で鹿児島まで行くのは不可能になってしまう。この後どうするかは、もうそろそろ考えはじめないといけない。

 やがて、御津(みつ)町の室津という、ひなびた漁村に到着した。まだ昼の2時半。ちょっと早く着きすぎたか。

 しかしこの室津というところは、思いのほか素晴らしい場所だった。半島の真ん中を石畳の道が貫いており、その両側に路地と集落が広がり、趣を醸し出している。漁港としては今や小規模なものになってしまったというが、江戸時代、かつて西国大名の参勤交代の際の中継地だったこともあり、観光で町おこしをしているようだった。
 集落内の寺や神社を散策し、かつての豪商の家を改装した資料館や、宿駅跡などを訪れた。今回の旅行で、はじめて観光らしきことをしているぞ!走ることに追い立てられてばかりいるのはしんどい。旅行とは、こうでなくっちゃあ。

 集落の中を歩き回っているうちに、床屋を見つけた。ちょうど髪が伸びてきていたので、散髪してもらうことにした。客は僕一人。夫婦で営業している店。いろいろ世間話をしながら散髪してもらうが、ここの奥さんが大分の人だという。そこで愛媛〜大分間のフェリーの話や、別府の温泉のことを聞くことが出来た。

 そう。愛媛の松山から大分の別府まではフェリーが出ているのである。これに乗れば、鹿児島まで行くことは十分に可能。

 大分の話をいろいろ聞いて、下関、関門トンネルをあきらめ、四国経由で九州に行くイメージが湧いてきた。店の外で記念撮影をしてもらった上に、散髪代も3600円のところを3000円にマケてもらってしまった。


<宿にて>

 今日の宿は浄運寺というお寺さんが経営しているユース。部屋は寺のお堂の一部、というわけではなく、普通の民宿のようなたたずまい。しかし、名前はユースを名乗ってはいるが、ユースというかんじがしない。宿泊部屋となる座敷に案内され、ポツーンと軟禁状態。談話室も食堂も何もない。ただ自分の部屋があるだけ。食事もお膳に運ばれてきたものを自分一人、自室で食べるのである。

 え?一人?…名前を書いておいてと言われた宿帳を見ると、僕は、実に1週間ぶりの客のようだった。なんと…。宿帳の過去のページを見ても、宿泊者は日をおいてポツリポツリというかんじである。うーむ。


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日付
タイトル
走行距離
宿泊
まえがき
ついに、このときが。
3月3日 キミは、登りきることができるか。 100km 箱根レイクヴィラユースホステル
3月4日 土砂降りの雨、一車線の人生。 106km 焼津セントラルホテル
3月5日 東海道しっかりせよ、怒り号。 100km 浜名湖ユースホステル
3月6日 一筋に、一筋に、無敵の男。 95km 愛知県青年会館ユースホステル
3月7日 天からミゾレの関が原。 110km 近江八幡ユースホステル
3月8日 転勤族の故郷とは。 83km 実家
3月9日 作戦変更。 実家
3月10日 父子伴走。 71km ビジネスホテルともえ
3月11日 瀬戸内旅情で休んだ。 82km ユースホステル浄運寺
3月12日 口角泡を飛ばした夜。 93km 倉敷ユースホステル
3月13日 決断のとき。 94km 瀬戸田ユースホステル
3月14日 春のうららの海だわさ。 89km 松山ユースホステル
3月15日 九州上陸作戦。 35km 別府ユースホステル
3月16日
神が舞い降りた日。
126km
シティホテルプラザ延岡
3月17日 ひとり上手と呼ばないで。 88km 宮崎県婦人会館ユースホステル
3月18日 ダサいキツネと依怙地のタヌキ。 59km 都城ユースホステル
3月19日 桜島だ、いよいよ。 69km 桜島ユースホステル
3月20日 ずっこけるな、三人組の大競争。 49km 圭屋(たまや)ユースホステル
3月21日 佐多岬はるかなり。 22km 錦江湾サウスロードユースホステル
3月22日 決戦、あばよ、早くー。 58km JR志布志駅待合室
3月23日 さらば、さらば。 1km 大島汽船「ありあけ」2等席
3月24日
日常へ。
34km
あとがき オレの勲章はオレのもの。


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