走行距離:106km
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| この日は朝から土砂降りの雨。府中夫妻の奥さんから、ずいぶんと心配される。「雨なんだから行くのやめたら?」「ほんと気をつけてね」・・・案じてくれるのは嬉しいが、雨が降ったからといって旅を中断していたら、いつまでたっても前には進めない。別れを惜しみ、カッパを着て、パニアバッグに防水シートをかけ、いざ出発。 宿から箱根峠最高部まで、しばらくの登りが続く。雨で、しかも登り。気分が沈む条件がどんぴしゃそろっている。カッパにボツボツと当たる雨が痛い。ヘルメットの通気穴から染みてくる雨しずくが強烈に冷たい。頭がしびれてきた。・・・前方に赤いカッパを着た女性チャリダーが、自転車を手押ししているのが見える。追い抜くときに「がんばってくださーい」と声をかける。こういう声援がチャリダーにとっては大事なんだ。頂上は近いぞっ。 道の駅箱根峠で小休止し、さらに少し登ると箱根峠。そこから先が静岡県だ。前回の御殿場旅行に引き続き、二度目の静岡県入り。ここから三島までは怒涛のダウンヒル!待っていましたぁ!苦あれば楽あり、登りあれば下りあり。下りのご褒美があるからこそ、厳しい登りにも耐えられる。 しかし!あいかわらず土砂降りの雨は弱まらない。雨粒がビシビシ顔に当たり、目をぱっちりと開いていられない。路面はむちゃくちゃ滑りやすい。自動車はあまり通らないけれど、この状況でスピードを出すのは危険きわまりない。なので、時速30km程度にスピードを抑えつつ、慎重に下っていく。晴れていれば時速40km以上で下っていただろうが。 ストレスのたまるダウンヒルを終え、三島を通りすぎる。ここから国道1号沿いに西に向かうというのは、東海道走破によく使われるルートのようだが、何といっても僕は自動車嫌い。交通量の多い1号を避け、海岸沿いに西に進むことにする。 沼津の千本松原沿いに西に進むが、雨は土砂降りで風も強く、快走ルートのはずが実にくたびれるルートとなってしまった。田子の浦からは晴れていれば富士山が見えるはずで、その風景が僕の行きつけの銭湯の壁画にもなっているわけだが、富士山は雲に包まれていて、まったく見えなかった。その後も後ろを振り返り振り返り、遠ざかっていく富士山が見えるかどうかを確かめるけれど、雲が消える気配が全然ない。結構楽しみにしていたんだけどな。そして、雨は降り続ける。 富士川を渡る直前、雨が弱まってきた。海岸近くの新富士川橋は自動車専用ということを事前につかんでいたので、内陸寄りの富士川橋で川を渡る。沿道のマクドナルドでカロリー補給。そしてとある交差点、赤信号で止まろうとしたとき、トゥークリップから足が抜けずに自転車ごとペチャッと転倒してしまった。幸いケガはなかったが、カッパの膝に穴が空いた。ガムテープを上から貼って穴をふさぐ。雨が小降りになって、気分がゆるんでいたのだ。気をつけよう…。 国道1号を嫌って、県道396号を使って西へ西へと進む。蒲原町に入ったあたりで雨が完全にやんだ。ありがたや。JR東海道線をはさんで396号と並行している国道1号は、途切れなく自動車がかっ飛ばしているらしいので、なるべく内陸を進む。しかしそれでも由比駅を過ぎたあたりで1号と合流せざるをえず、なくなく国道1号を走る。……な、な、なんて過酷な道路なんだ〜!自動車がわが物顔でブォンブォン飛ばしている。てめー、ここは高速道路じゃねぇぞ! 「自転車は横の歩道へ」の看板があったので、路肩を下りて歩道に逃げ込もうとするが、なんと!歩道は高さ1メートルほどのフェンス(ガードレールなんてものじゃない)で車道と隔離されており、歩道に入ることが出来ない。じゃあ「自転車は横の歩道へ」の看板は何なんだ?国土交通省よぉ。仕方がないのでパニアバッグを外し、自転車を持ち上げ、フェンスの上を担ぎ上げて歩道に下りる。ずいぶん難儀なことだ。 国道1号を南にそれて、国道149号に入る。いつの間にか空はカラリと晴れわたっていた。清水の市場で、マグロ丼の昼飯を取る。う、うまい……。清水にもユースホステルがあるのだが、まだ進撃をやめるには早い。せっかく晴れたんだから、もう少し先まで行っておきたい。そもそも当初の計画ではこの日は御前崎まで走るつもりだった。それは無理でも、後のことを考えれば少しでも距離を稼いでおきたかった。 ところが走行距離が70kmを超えたあたりで、左ひざの皿が痛くなってきた。1日目、箱根登坂でかなりヒザに負担をかけてしまったからなぁ。 やがて149号は国道150号に変わり、海沿いを西に向かう。このあたりは通称「いちごライン」と言われており、なるほど沿道にはイチゴ狩り農園が並んでいる。案内役のお姉さんたちが、赤いイチゴ型の風船をクルンクルンと回して、150号を走る自動車にアピールしている。僕も、のどが渇いてきたので取れたてイチゴを1パック買ってその場で食べてしまった。あまい、う、うま〜〜い…。 それにしても、150号もひどい向かい風。なるべく前傾姿勢で風をよけて走るが、スピードが上がらない。予定ではこのへんは海沿いの快走ルートのはずだったのになぁ。ずいぶんと消耗してしまった。 日もすっかり傾き、空気がひんやりしてきた頃、焼津に入る直前の難所「大崩海岸」にさしかかった。海沿いではここを越える以外に西に向かうルートはない。崖にへばりついているといった形の道路の幅は狭く(一部では道が海上にはみだしている)、曲がりくねった登り坂が続いており、そのくせ交通量も多いというとんでもない所だった。しかも狭い狭いトンネルのおまけつき。距離にしてみればほんの3kmほどだが、ここでも大いに消耗してしまった。暗くなる前に、早く宿を探さなきゃなぁ。 大崩海岸を越え、焼津市街地に到達。とりあえず焼津駅に向かってみる。このあたりにはユースはないので、駅前の電話ボックスのタウンページで宿を調べる。その中の一つ、ビジネスホテル「焼津セントラルホテル」に電話をし、今日はここに泊まることにした。野宿の装備は持っていないので、こういう所に泊まらざるをえないのだ。 駅から自転車で5分という所にこのホテルはあった。チェックインを済まし、この日は雨に降られたこともあって、さっそく自転車のチェーンに油を差す。 夕飯は…コンビニ弁当と、隣のスーパーで買ったお惣菜と、お菓子と、野菜ジュース。…うーむ、わびしい。しかもユースとちがって今日は本当に独りぼっち。むなしい…。むなしいぞぉ! |
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日付
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タイトル
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走行距離
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宿泊
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まえがき
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| 3月3日 | キミは、登りきることができるか。 | 100km | 箱根レイクヴィラユースホステル |
| 3月4日 | 土砂降りの雨、一車線の人生。 | 106km | 焼津セントラルホテル |
| 3月5日 | 東海道しっかりせよ、怒り号。 | 100km | 浜名湖ユースホステル |
| 3月6日 | 一筋に、一筋に、無敵の男。 | 95km | 愛知県青年会館ユースホステル |
| 3月7日 | 天からミゾレの関が原。 | 110km | 近江八幡ユースホステル |
| 3月8日 | 転勤族の故郷とは。 | 83km | 実家 |
| 3月9日 | 作戦変更。 | − | 実家 |
| 3月10日 | 父子伴走。 | 71km | ビジネスホテルともえ |
| 3月11日 | 瀬戸内旅情で休んだ。 | 82km | ユースホステル浄運寺 |
| 3月12日 | 口角泡を飛ばした夜。 | 93km | 倉敷ユースホステル |
| 3月13日 | 決断のとき。 | 94km | 瀬戸田ユースホステル |
| 3月14日 | 春のうららの海だわさ。 | 89km | 松山ユースホステル |
| 3月15日 | 九州上陸作戦。 | 35km | 別府ユースホステル |
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3月16日
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126km
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シティホテルプラザ延岡
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| 3月17日 | ひとり上手と呼ばないで。 | 88km | 宮崎県婦人会館ユースホステル |
| 3月18日 | ダサいキツネと依怙地のタヌキ。 | 59km | 都城ユースホステル |
| 3月19日 | 桜島だ、いよいよ。 | 69km | 桜島ユースホステル |
| 3月20日 | ずっこけるな、三人組の大競争。 | 49km | 圭屋(たまや)ユースホステル |
| 3月21日 | 佐多岬はるかなり。 | 22km | 錦江湾サウスロードユースホステル |
| 3月22日 | 決戦、あばよ、早くー。 | 58km | JR志布志駅待合室 |
| 3月23日 | さらば、さらば。 | 1km | 大島汽船「ありあけ」2等席 |
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3月24日
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34km
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| あとがき | オレの勲章はオレのもの。 | ||