8月16日:自動車天国。

走行距離:約75km
ルート :八王子〜厚木〜小田原〜箱根湯本
宿 泊 :箱根水明荘別館


 さて、今回の目標は単純だ。箱根越えの偵察である。いったい箱根の勾配とはどの程度なのか?交通量はどうか?道路の広さはどうか?まさに調査目的、なのである。とはいえ本心では「箱根までいってきた」という実績、勲章が欲しくてやっていることはまちがいない。

 朝、八王子を出発し、西に向かって国道16号にぶつかる。相変わらず交通量、とりわけトラックの多い道路だ。途中から129号に切り替え、まっすぐ南に向かって下る。129号もまた交通量が多い。峠などはまったくないのだが、大型ダンプが絶え間なく横を走りすぎていく。

 厚木からは国道246号に入り、西へ。あいかわらず交通量が多い。特に見所などもない。途中ラーメン屋で昼飯を食べる。

 あまりにも交通量が多く不愉快なので、途中で地方道63号に入り、海に向かって南に走ることにした。田んぼの間の田舎道。多少のアップダウンはあるものの、トラックにがまんしながら走るよりかは何倍もいいと思った。やがてかの有名な国道1号に合流する。平塚→大磯→二宮→小田原と西に向かって走っていく。しかしメチャ暑いなあ、、、。沿道にコンビニを発見するたびに水分を補給してしまい、すでにお腹はパンパンだ。そして自転車をこぎはじめると汗が噴き出し、またまた水分補給。これじゃいけないんだろうなぁ。

 やがて小田原城を発見し、入り口近くの広場で休憩する。この先に箱根があるわけだが、特に宿などは決めていない。この先どこまで登れるのだろうか?それとも少しも登れることなく東京に引き返すのか?それは恥ずかしいぞ。

 国道1号に沿って、おそるおそる登坂を開始する。うーむ徐々に勾配がきつくなってくるぞ。ちょっとこれは自転車で走りたい道ではないなぁ。すぐ脇を箱根登山鉄道・小田急乗り入れの線路が通っているが、こちらも勾配のある地形に合わせてウネウネとした線路になっている。

 国道1号は山が近づくとだんだんと細くなっていき、自転車でも走りにくいことこの上ない。僕も鉄道沿いに小田原、風祭と走ってきたが、入生田(いりうだ)まで登ったところでペダルを回すのが精神的に億劫になってしまった。これでも箱根峠の中でもまだ楽な部類に含まれるはずだ。仕方ない。ここで自転車は終わりだ。

 入生田駅の売店のおばちゃんに駐輪場のありかをたずねるが、そのようなものはないという。また、路上駐輪をしておくと、結構簡単に駐輪回収にあってしまうのだという。しかしこのおばちゃんは優しかった。すぐ近くの自分の家の空き地に止めなさいという。ありがたや!さっそくお礼を申し述べ、自転車を置かせてもらうことにした。

 荷物だけを背負い、箱根登山鉄道に乗り込む。うーむ今日の宿はどうしよう?温泉旅館のどれかにでも泊まるか?けれど高いのは嫌だなあ、、、、、。つらつらと考えているうちに箱根湯本に到着した。さっそっく駅内の観光案内所にて宿を探す。予算は?「なるべく安いところで」われながらヤな客である。ではいくらくらいまでか?「(適当に)6000円台まで!」

 あてはまる宿が決まった。「箱根水明荘別館」が素泊まりで6500円だという。よし、ここで決まりだ。これまでの自転車旅行では自分で宿を決めたことがなかったので、とても高く感じるが、しかしこれでも温泉旅館の中では安いほうらしい。

 観光案内所で渡された地図を頼りに水明荘を探す。まもなく見つかり、フロントでチェックイン。綿のズボンにTシャツ、頭にはバンダナ、荷物はリュック一個分だけ。観光地においては非常に浮いた存在だ。ただ走りにきたというだけの、お金を落としてくれない招かれざる客、である。チェックイン後、一人用の別館の一室に入る。

 それにしてもクタクタだー。エアコンを入れ、ベッドの上に仰向け大の字になって倒れこむ。あーあ、暑い一日だったよなぁ。、、、いつの間にかウトウトしてしまったようだ。まさに疲労困憊。しかし風呂には入りたい。意を決して風呂に向かう。しかも温泉旅館の温泉ではなく、町の中の共同浴場に入りたい!

 宿を抜け出し、箱根登山鉄道で一駅だけ移動してみる。塔ノ沢で下車。まもなく共同浴場が見つかった。いかにも生活に密着した銭湯的浴場。お風呂セットを持ち、お金を払い、中へ。3人入れるかどうかという大きさの湯船。ざぷん。湯船につかる。客は僕一人のようだ。

 しばらくすると、地元の人と思しき中年男性が入ってきた。湯船につかりつつ、この男と世間話をする。彼によるとこの湯船の壁面についているお湯の噴出孔に背中を当てると気持ちがよく、それが毎日の楽しみなのだという。僕も試してみる。グリグリグリと背中のツボにジェット噴流が当たるようでなるほどキモチイイ。

  彼から仕事は何をしているのかと訊かれたが、僕はただの遊び呆けている学生でしかないのだった。うーむ。そうなのだ、どんなにふだん理屈をこねてエラそうにあーだこーだと言ってみたところで、しょせん僕は学生でしかないのである。ただの学生だよ、学生。奨学金と親からの仕送りなしには生きられない存在。仕事とはいってもそれはバイトでしかないし。モノホンの社会人と話していると、あっという間にうすっぺらい自分のメッキは剥がれてしまうのだ、、、。

 風呂を出て再び箱根登山鉄道に乗って湯本まで戻る。せっかく風呂に入ったのに、蒸し暑いせいでまたじわーっと汗をかいてしまう。うーむむ。しょうがない、今度は旅館の浴場に入るか。ということで一日に二度も風呂に入ってしまった。しずかちゃんなみの入浴頻度であろう。

 二度も風呂に入り、さすがに脱力しきって、ネル。

日付
タイトル
走行距離
宿泊
まえがき
目標は、箱根偵察。
8月16日
自動車天国。
約75km
箱根水明荘別館
8月17日
箱根小観光。
約75km
あとがき
英雄への道。

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