14.ママチャリの罪業を考える

「ママチャリのせいだぞ!?」


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 自分の趣味として自転車に乗るだけでなく、あちこち旅行をしているうちに、日本の道路事情や交通事情なんかにも自然と目が向くようになった。まぁ、日本の道路も社会も、クルマを軸に組み立てられているのだろう。「クルマに乗る」「サラリーマン」が日本のスタンダードで、それ以外は異端とされる。

 ちょこっと自転車や道路の歴史なんかをかじるようになり、現在は自転車ツーキニスト疋田智氏の生涯学習講座「愉しむための自転車学」というのを受講している。今回はその受け売り知識を披露しよう。

 さて、道路交通法では自転車は軽車両と定義され、車道を走るのが原則となっている。しかし1978年、道路交通法が改正され、認められた区間にかぎって例外的に自転車も歩道を通行できるようになった。クルマが爆発的に増え、クルマと自転車の接触事故が多発したからである。

 しかし実際には歩道のほとんどの区間で自転車の通行が認められるようになり、例外だったはずの自転車による歩道通行が、いつの間にか「あたりまえ」になった。自転車は歩道を走る乗り物だという認識が広まってしまった。

 そしてこの法改正を境として、ママチャリの販売台数が爆発的に伸びることになる。ママチャリのコンセプトは何か。短い距離をノロノロと走る。これである。つまり歩行者に迷惑をかけながら、その間をぬうようにして走るための自転車がママチャリなのだ。直立に近い乗車姿勢なども、長時間高速で走るのには向いていない。

 もともとは人間が手軽に高速で移動できる乗り物として自転車は19世紀以来発達してきたが、ママチャリはそのスピードという自転車が持ついちばんの可能性を閉ざしてしまったシロモノだったのだ。

 さらに問題なのが、中国などからの安価で粗悪な輸入ママチャリの流入である。まぁ、そんな用途に利用されるママチャリだから、高性能である必要はまったくない。1台1万円もしないママチャリが量販店を席巻していることはご存知のとおりである。

 輸入ママチャリはコストダウンのために随所で手抜きをしている。フレームの耐久力からタイヤのチューブにいたるまで安物である。いい素材のフレームを使わないものだから肉厚にせざるをえず、したがって非常に重い。でも、そんな粗悪品でも短い距離をノロノロ走るのには十分だ。

 僕が乗っていたママチャリも、実は輸入品だった。パンクしたときに自転車屋に持っていったら、空気を入れるバルブの部分がゴム一体成形ではなく金属のフタによる接合で、これでは簡単にチューブが破れてしまうと自転車屋に言われた。たまたま釘を踏んだとかではなく、構造的にパンクしやすいタイヤだったのだ。

 安い粗悪品が出回るようになれば、その業界はもはや発展しない。利用者のモラルも低下する。近年の国産の自転車メーカーの大半は、もはや永続的な不況業種になってしまった。壊れればポイ、すぐにまた粗悪ママチャリに買い換え。そしてまた短い距離をノロノロと走る。

 こんなんで自転車が長距離を駆け抜けられる乗り物として認知されるだろうか?大事にされるだろうか?長距離はクルマでぶぶー。いや、近くてもクルマでブブー。自転車が大事にされないのに、自転車交通をもっと便利にしろといったって、それを支える世間の常識がないのだから、まるで夢物語ではないか…。

 そして自転車衰退の尖兵となっているのが、安価で粗悪な輸入ママチャリなのだった。まるでママチャリはビニル傘のようなものである。傘を大事にしましょうといったって、まるで説得力がない。

 一人一人のチャリダー個人にとっては、もちろんママチャリは思い出深いものであるだろうが、マクロな視点に立てば、ママチャリはこのような罪業を背負っているということも、見落としてはならない。

15.スポーツ劣等生と自転車
13.英雄ママチャリダー
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